
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?~対策とメンタルヘルスケアの関係
カスタマーハラスメント(カスハラ)は、企業にとって看過できない深刻な問題となっています。顧客からの過剰な要求や暴言・暴力などの迷惑行為は、従業員の尊厳を傷つけ、モチベーションの低下や離職につながるだけでなく、職場全体の生産性にも悪影響を及ぼします。
さらに、カスタマーハラスメントはメンタルヘルス不調のリスクを高め、うつ病などの重篤な疾患を引き起こす可能性があります。従業員の心身の健康を守るためにも、企業は積極的にカスタマーハラスメント対策に取り組む必要があるのです。
カスタマーハラスメント対策とメンタルヘルス対策を両輪として進めることで、従業員が安心して働ける職場環境の実現を目指すべきだと言えます。
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カスタマーハラスメントとは
カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラは近年急速に注目を集めている問題です。
まずはカスタマーハラスメントの基本的な概念について説明していきます。
カスタマーハラスメントの定義
カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先などの外部の人間が、従業員に対して行う嫌がらせや迷惑行為のことを指します。
カスハラの具体例 | 従業員への影響 | 企業への影響 |
など | 従業員の尊厳を傷つけ、働く意欲を低下させるだけでなく、メンタルヘルスにも深刻な影響を及ぼす可能性がある | 生産性の低下や人材の流出など、大きな損失につながる可能性がある |
カスタマーハラスメントの特徴
カスタマーハラスメントには、いくつかの特徴があります。
① 加害者が顧客や取引先であるため、企業側が対応に苦慮することが多い
…「お客さまは神様」という考え方が少なからず残る日本社会では、顧客の理不尽な要求にも従業員が我慢を強いられるケースがあります。
②接客業など、特定の業種で発生しやすい
カスタマーハラスメントの発生要因
では、なぜカスタマーハラスメントは発生するのでしょうか。その要因としては、以下のようなものが考えられます。
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特に近年は、SNSの普及により、顧客の「感情の爆発」が可視化されやすくなっています。
些細なトラブルが瞬時に拡散され、本来当事者ではなかった顧客が企業への批判や攻撃を行うケースも増えているのです。
カスタマーハラスメントの実態と影響
厚生労働省が実施した「令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年間に勤務先で顧客等から著しい迷惑行為を一度以上経験したと回答した割合は15%となりました。
特に、サービス業や、女性や若年層の被害が多いことも言われています。
ちなみに、当社が2023年に実施した実態調査では、直近1年でカスハラを受けたことがある担当者は64.5%で、6回以上も1割超占める結果となりました。
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こうした状況を踏まえると、企業のカスタマーハラスメント対策としては、以下のような多角的なアプローチが必要不可欠で求められているといえるでしょう。
従業員のメンタルヘルスケア
顧客対応マニュアルの整備
社内教育の充実 など
カスタマーハラスメントに立ち向かうためには、現場任せにせず、組織を挙げての取り組みが欠かせません。
カスタマーハラスメントがメンタルヘルスに与える影響
カスタマーハラスメントに適切に対応してくれない職場は、従業員のメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼします。
ここでは、カスタマーハラスメントがもたらす様々な影響について詳しく見ていきましょう。
カスタマーハラスメントによるストレスとメンタルヘルス不調・精神疾患のリスク
カスタマーハラスメントは従業員に大きなストレスを与え、メンタルヘルス不調のリスクを高めることにも繋がります。
顧客からの過剰な要求や理不尽な対応に晒され続けると、ストレスにとどまらずメンタルヘルスを損なう危険性が増大し、うつ病、不安障害、適応障害などの精神疾患を発症するリスクが高まります。
顧客からの過度な要求や非合理的な苦情、暴言や暴力的な行動など ↓ 従業員の心理的負担を増大させ、ストレスレベルを急激に上昇させる ↓ 身体的・精神的な健康問題を引き起こす可能性 ↓ 精神疾患を発症するリスクも |
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ストレスや疾患は個人の生活の質を大きく低下させてしまいます。
それだけでなく、仕事への意欲や能力にも影響を与え、場合によっては休職や離職につながることもあります。
また、従業員同士の人間関係にも悪影響を及ぼします。
ストレスを抱えた従業員は同僚とのコミュニケーションが円滑に行えなくなったり、チームワークが損なわれたりする可能性があります。
継続的なストレスは、従業員の心身の健康を蝕み、仕事のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
カスタマーハラスメントによるストレスは、深刻な問題へと発展する恐れがあるのです。
バーンアウト症候群(燃え尽き症候群) との関連性
カスタマーハラスメントは、バーンアウト症候群(燃え尽き症候群)のリスクを高めます。
バーンアウトとは… 長期間にわたる過度のストレスによって、心身ともに疲弊し、仕事への意欲や関心を失ってしまう状態 |
顧客対応業務では、感情労働(自分の感情を抑制し、顧客に好印象を与えるよう振る舞うこと)が求められます。
カスタマーハラスメントにさらされながら、常に笑顔や丁寧に対応し続けることは、従業員にとって大きな負担となります。
長期的に感情労働を強いられることで、従業員は心身の疲労を蓄積し、やがてバーンアウトに陥る危険性があります。
バーンアウトに陥った従業員は、仕事への意欲を失い無力感や絶望感に苛まれ、最終的には退職を余儀なくされることもあります。
職場環境への悪影響
カスタマーハラスメントを放置していると、職場環境にも悪影響を及ぼします。
カスタマーハラスメントに悩む従業員が増える ↓ 職場全体の雰囲気の悪化や、生産性が低下する可能性がある |
従業員がストレスを抱える ↓ 欠勤・遅刻が増えたりミスが多くなったりと、仕事のパフォーマンスが低下する ↓ カスタマーハラスメントの対応にも追われる ↓ 本来の業務に専念できなくなり、業務効率が下がってしまう |
さらに、カスタマーハラスメントが頻発する職場では、従業員の離職率が高くなる傾向があります。
優秀な人材が次々と離職する ↓ 採用や教育・定着率に悪影響を与える ↓ 生産性が低下する ↓ 企業の発展にも影響を与えかねない |
職場環境の悪化は、残された従業員のモチベーションにも影響を及ぼします。
働きがいを失った従業員は、仕事への意欲を失い、職場の雰囲気を悪化させてしまうのです。
カスタマーハラスメント対策の具体的方法
ここでは、企業が取り組むべきカスタマーハラスメント対策の具体的方法について解説します。
社内ルールとマニュアルの整備
カスタマーハラスメント対策の第一歩は、明確な社内ルールとマニュアルの整備です。
企業はカスタマーハラスメントに関する基本方針を定め、従業員が遵守すべき行動規範を明文化する必要があります。
また、カスタマーハラスメントが発生した際の対応手順をマニュアル化し、従業員が適切に対処できるようにすることが重要です。
マニュアルには、カスタマーハラスメントの定義や具体例、報告・相談の方法、対応の流れなどを盛り込み、従業員に周知徹底を図ります。
従業員教育とコミュニケーション研修
社内ルールやマニュアルの整備と並行して、従業員教育とコミュニケーション研修を実施することが重要です。
カスタマーハラスメントの防止には、従業員一人ひとりがカスタマーハラスメントについて正しく理解し、適切な対応ができるようになることが不可欠です。
研修では、ロールプレイングなどの実践的な訓練を取り入れることで、従業員は冷静に対応できる力を身につけることができるでしょう。
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メンタルヘルスケアの充実
ここまでも述べてきたように、カスタマーハラスメントは従業員の心身の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、メンタルヘルスケアの充実が欠かせません。
具体的な対策としては、
従業員のメンタルヘルス不調の早期発見と対応に努めるため、
- ストレスチェックを実施する
- カウンセリングの体制を整備する
- カスタマーハラスメントを経験した従業員に対して、必要に応じて
- 専門家による心理的ケアを提供する
→ メンタルヘルスケアを通じて、従業員のストレス耐性を高め、カスタマーハラスメントの影響を最小限に抑えることが可能となります。
組織的な対応体制の構築
カスタマーハラスメント対策を効果的に進めるには、組織全体で取り組む体制の構築が不可欠です。現場に任せきりにするのではなく、経営層のリーダーシップのもと、関連部署が連携して定期的な会議を開催し、対策の進捗状況を確認しながら、PDCAサイクルを回していくことが求められます。また、対策の効果を測定し、現状に合わせて施策の見直しを行うことも重要です。
まとめ
カスタマーハラスメントは、従業員のメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼす重大な問題です。
具体的な対策
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上記のような総合的なアプローチにより、従業員が安心して働ける職場環境を実現することが可能となります。
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