2021/04/15
News Release
報道関係各位
2021年4月15日
株式会社エス・ピー・ネットワーク
【カスタマーハラスメント実態調査(2021年)】
「新型コロナ禍の影響でカスタマーハラスメントが増えている」と感じているのは約2割
カスハラ対応方針を打ち出していると回答した人はわずか11%
新型コロナ関連のカスハラのうち「従業員の対応」についてのカスハラが約4割
~企業の対応は進まず。研修や対応方針の明確化など、組織的な対応が求められる~
企業の危機管理を総合的に支援する株式会社エス・ピー・ネットワーク(本社:東京都 代表取締役社長:熊谷信孝)は、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」についての実態調査をインターネット上で行いました。
顧客や取引先による悪質なクレームや不当要求を、販売員や従業員に突きつける「カスハラ」は、近年増え続けています。国による対策も動き始め、消費者庁は2021年2月に、「消費生活相談における相談対応困難者(いわゆるクレーマー)への対応マニュアル」を作成しました。さらに、厚生労働省では今後カスハラに類する「悪質なクレーム」について、企業がとるべき対策を指針で明示する予定です。
今回の調査により、新型コロナ禍に関係なくカスハラが増加している中で、企業の対応が進んでいないという問題が明らかになりました。今後企業のカスハラ対応には、研修の実施のほか対応方針の明確化など、企業としての方針を示すことで従業員を守る、組織的な対応が求められています。
職場において行われる、又は業務に関して行われる(1)優越的な関係を背景とした顧客(法人等の取引先を含む)の言動で、(2)業務上又は社会通念上相当の範囲を超えて行われ、(3)担当者の就業環境や業務推進を阻害し、又は担当者の尊厳を傷つける行為
例)
カスハラが減ったという人はわずか5.7%で、過半数は「変わらない」との回答でした。一方で、「増えている」と感じている人も4割弱で、増加傾向が認められました。新型コロナ禍で増加しているとの回答は2割強という結果となりました。
[Q1] あなたは2020年1月以降の新型コロナ禍において、カスタマーハラスメントが増えている(直接対応した案件以外にも、身近で見聞きした事案も含む)と感じますか?(n=1030)
新型コロナに関係のない社会変化をはじめ、在宅時間の増加や新型コロナ禍におけるストレスも、カスハラの要因だと多くの人が感じていることがわかります。
[Q2] (Q1で)増えていると回答した方にお聞きします。増えた要因は何だと思いますか。
【自由記述より一部抜粋】
新型コロナの流行前後の比較として、「新型コロナ禍以前から増加しており、直近2年間で更に増加した」とする回答は17.7%でした。一方で、「新型コロナ禍以前はそれほど増加していなかったが、直近2年間で増加した」とする回答は、14.0%でした。カスハラの増加に関しては、新型コロナの影響は限定的であったと考えられます。
[Q3] あなたは直近2年間でカスタマーハラスメントが増えていると感じますか。増えていると感じる方は、直近2年間でどの程度増えたと感じるか、感覚値(%)で増えた割合をお答えください。
例)20%増加した場合は「20%」とご回答ください。(n=1030)
サービス業(学校・教育産業)では、感覚値で「最大500%になった」と回答した人も。平均値ではサービス業(学校・教育産業)79.50%、サービス業(旅館・宿泊所・娯楽業)51.25%、サービス業(医療・介護・薬事)44.72%とサービス業において高い傾向がみられました。
[Q3]の質問で、「カスタマーハラスメントが2020年以前から増加しており、直近2年間でさらに増加している」と回答した人における増加率(%)の業種別の割合(n=182)
新型コロナに関するカスハラとしては、「従業員の対応」に関するものが最も多く、約4割を占めています。従業員の対応等に難癖を付けて、カスハラに発展している傾向が顕著といえます。その他では、「商品」に関するものが、約3割と続いています。
[Q5]新型コロナに関連するカスタマーハラスメントを受けたことがある方の中で、あなたが対応したカスタマーハラスメントの内容は、どんなものがありましたか?(いくつでも)
顧客対応全般に関するマニュアルを作成していると回答している人は31.7%で、第1回目の調査時と変わらず、企業において顧客対応マニュアルの作成は進んでいない(第1回、第2回調査ともに過半数が未整備である)ことが明らかになりました。カスハラの増加や新型コロナの流行に伴うビジネススキームの変更等で顧客対応の在り方にも変化が求められる中、改めて顧客対応マニュアルの整備が課題となっているといえます。
[Q8] あなたがお勤めの会社では顧客対応全般に関するマニュアルは作成されていますか?(2019年、2021年共にn=1030)
顧客対応マニュアルを整備していると回答した人の中ではカスハラ対応についても盛り込まれていると回答した人が8割を超えていますが、カスハラへの対応について詳細かつ十分な内容が書かれていると回答した人は、3割強でした。企業としての対応方針や対応マニュアルの整備がまだまだ不十分であることが明らかになりました。
[Q9]「マニュアルが作成されている」と回答している方にお聞きします。そのマニュアルはカスタマーハラスメントに対応していますか?(n=327)
第1回目の調査から上3項目は変わらず、企業の対応が依然として個人のスキルに頼っている実態と、対応力のある人材の育成に多くの企業が課題を感じていることが明らかになりました。また、2021年の第2回調査では、「具体的な対応マニュアルの整備」が第3位にランクインしており、2019年の第1回調査以降、カスハラ対策を行った企業も、具体的な内容の整理・策定の点で課題を抱えていることが分かりました。
[Q10] カスタマーハラスメント対応を行ううえでの課題は何でしょうか?すべてお選びください。(いくつでも)(n=1030)
2021年の調査結果では、「社内にいる顧問やベテラン社員」に相談するという人が4割を超えており、現場でカスハラに直面する中で、企業内でのカスハラ対応に関する相談体制は実務的には整備されつつあるものの、依然として社内の知見に頼っている実態が浮き彫りになりました。
[Q11] あなたがお勤めの会社では、カスタマーハラスメント顧客の対応に困ったときにどこに相談していますか?会社の相談先として当てはまるものをすべてお選びください。(いくつでも)(2019年、2021年共にn=1030)
「カスタマーハラスメント」に関しては明確な定義や行為類型はなく、企業や論者によりまちまちの状況です。企業においても、自社でいうカスハラはどのようなものをいうのか、どのような姿勢で臨むのか等、カスハラ対応方針を明確に打ち出している企業に属していると回答した人は、わずか11%でした。実際の現場ではまだまだ従業員がカスハラ被害に遭っている可能性が高いことが示唆されています。
定義の作成について検討・着手しておらずコンセンサスも取れていないと回答した人は72.2%にも上っており、多くの企業では、カスハラ指針の策定の取り組みが進んでいないことが明らかになりました。カスハラの「定義も類型も明文化されている」と回答した人はわずか4.9%であり、顧客対応マニュアルにおいて、カスハラの対応要領を盛り込んでいるとする企業も、その定義や行為類型が曖昧な状況では、現場で何がカスハラなのか判断できないことから、その実効性は疑わしい状況にあるといえます。
[Q12] あなたの会社では「カスタマーハラスメント」の定義(対応ポリシー)や行為類型が明確にされていますか。(n=1030)
「そもそも研修やOJTのような教育制度がない」という回答が最も多く、カスハラ対応に関する研修を1度も行ったことがないと回答している人は、42.8%にも上っています。仮に顧客対応マニュアルにカスハラ対応方針が定められていても、研修を行っていなければ、現場での実際の対応は難しく、まだまだ企業としてのカスハラ対応の体制が不十分であることが浮き彫りになりました。
[Q14] あなたがお勤めの会社では、カスタマーハラスメントや不当要求対応に関する実践的な研修は行われていますか。(いくつでも)(n=1030)
ストレス増加の影響があると感じる人が合計88.5%、「業務遅延」の影響があると感じる人は合計79.4%、「退職リスク」の影響があると感じる人も合計53.5%に上りました。
[Q13] カスタマーハラスメント顧客の対応によって会社内の以下の項目にどれくらい影響がありますか?あてはまるものをそれぞれお選びください。
[Q15] カスタマーハラスメントによる被害を減らすために、政府や専門家に検討・対処して欲しい事項は何ですか。(どんなノウハウ等が知りたいですか)。あなたの経験等を踏まえて、お答えください。
【自由記述より一部抜粋】
コロナ禍でのカスハラの増加については限定的であったものの、カスハラは増加傾向にある。そのような状況の中で、カスハラの定義や行為類型の整備、カスハラ対応ポリシーの公表、顧客対応マニュアルの整備やマニュアルにおけるカスハラへの具体的な対応要領の明記、カスハラや不当要求対応に関する研修の実施等、企業のカスハラ対応体制の整備には大きな課題が依然として存在していることが明らかになった。
カスハラの業務への影響は、2019年調査、2021年調査ともに上位3位は同じであり、ストレスの増加や仕事意欲の低下等、従業員のメンタル面に大きな影響を及ぼすことはもはや周知の事項といえる。理不尽なカスハラから従業員を守り、働きやすい職場環境を整備していく上でも、カスハラ対策は必須であり、対策の不備は安全配慮義務違反等の問題にもなりかねないリスクがある。
経営者はカスハラから従業員を守るという強い決意を持ち、具体的かつ抜本的なカスハラ対策を推進していく必要がある。自社の知見のみならず、専門家の知見も積極的に吸収し、従業員にそのノウハウを共有し、組織一丸となって、カスハラに対応していくべきである。カスハラや不当要求に対する研修がコストを理由になされなかったり、内製化されたりするケースが少なくないが、カスハラ対策はコストではなく、従業員を守るための不可欠な投資である。今や「お客様は神様」だけではない。働き方改革等で、働きやすい職場の推進が重視される中、従業員を守るために、経営者としての強い決意として、カスハラ対策を推進していかなければならない。
なお、現状においては、実際のカスハラ対応に当たって、いざ警察対応すべき段階に至っても、特に業務妨害・強要等での事件化は容易ではない。警察対応・事件化は、企業等、カスハラ対応に晒される現場としては、「最後の砦」である。もはや、カスハラが従業員のメンタルへの影響を及ぼし、業務遅延を招くことは明白であり、継続的になされるカスハラは、企業等に必要以上の負担を強いて、正当な業務を妨害しているに等しい。警察・検察当局には、消極的な事件処理により、カスハラを助長しないよう、社会的使命と正義感を踏まえた、適切な事件化、取扱いを強く望む次第である。
※リリース修正のお詫び……「調査概要」欄の調査期間に誤りがありました。
謹んでお詫びするとともに、訂正いたします。(2021年6月29日)
調査期間:2021年3月25日~26日
↓
調査期間:2021年2月26日~27日
株式会社エス・ピー・ネットワークは、1996年に創業した企業危機管理の専門会社です。反社会的勢力排除を始め、法務・広報からITに関する企業危機管理コンサルティングのほか、危機管理の実践対応や身辺警備など、企業に多彩な危機管理ソリューションを提供しています。
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